「十二夜」舞台写真
最小限の簡素な装置と小道具だけで舞台化した、
観客の想像力に訴える、
演劇本来の魔法の力を駆使した舞台 !!
これこそシェイクスピア時代の演劇の在り様。
今、甦るルネッサンス! 祝祭空間の誕生!
開演前の先生のご挨拶。
「・・・リラックスして伸び伸び見て下さいとの事です。
オープニング。全登場人物による踊り。
そのコンセプトは、相関図。
道化の口上。
シェイクスピア及び『十二夜』についての簡単な紹介。
男装してオーシーノーに使えるヴァイオラ。
名はシザーリオ。
「お前の声はまるで乙女のよう。オリヴィア姫のところへ
行き、この切ない胸の想いを突き刺してくれ。」
そんな一途な公爵に、ヴァイオラの心は揺れる。
悲しみの喪に服すオリヴィア姫。
だが、シザーリオ(ヴァイオラ)の熱い言葉に頑なだった心が開いていく。
「・・・あなたはどういうお方!?」
何と!姫は女とは知らずにシザーリオに恋してしまうのだった。
一方、兄セバスチャンは海賊アントーニオに命を助けられ、
妹ヴァイオラが生きているとは知らずイリリア国に向かうのだった。
オリヴィア家では、今夜も、お笑い三人組による宴会の真っ最中。
止めに入った、マライアもミイラとりがミイラになって・・・
だが、マルヴォーリオに捕まって家を出て行けと怒鳴られてしまう。
しょげ返る三人組。
と、賢いマライアが名案を思いつく。
「あいつに偽のラブレターを拾わせるの。実は私、お姫様そっくりの字が書けるのよ。」
躍り上がる三人組。
「今の曲をもう一度。」
シザーリオをすっかり気に入ったオーシーノー。
いつしかオーシーノーを愛してしまったヴァイオラ。
束の間の幸せな時間。
「この曲をどう想う。」
「恋の神様が座を占める胸の底からのこだまのようです。」
「うまい事を言う。どうやらお前、まだ子供のくせに恋をしているようだな。」
「ハイ、あなた様のおかげで。」
「どんな女だ?」
「あなた様のようなお顔立ちで。」
「年は?」
「あなた様ぐらいです。」
・・・だが、シザーリオを男と信じるオーシーノーは気づかない。
哀れ!ヴァイオラ。
偽ラブレターを仕掛けた三人組は、木に隠れ、マルボーリオが読むのを密かに覗き見し、うっぷん晴らしをする。
手紙の内容のあまりの珍妙さに大笑い!
ハシャギ過ぎてマルボーリオに見つかりそうになったアンドルーは、木に飛び乗り、ウグイスになるのだった。
「ホー・ホケキョ」
すっかりオリヴィアからのラブレターと信じ込んだマルヴォ−リオは、手紙の指示通りの格好で現れた!!
「お嬢様、例のモノ、確かに受け取りました。お望み通り早速実行されております。」
「マァ、どうしたの?マルヴォーリオ!」
「私のために若返ってネ!黄色いレオタードにローラースケートを履いてネ!」
「エ!?何のこと?大丈夫、マルヴォーリオ!?少し寝た方が良さそうね。」
「ネル!?寝るとおっしゃるんですか、お嬢様!!はい!行きますとも、貴女となら、例え世界の果てまでも!!」
「キャー、助けて。」・・・マルヴォーリオご乱心!!
「シザーリオ、ね、おっしゃって!私のこと、どうお思い。」
女とは知らずに恋してしまったオリヴィア姫は、喪服を脱ぎ捨て、愛を高らかに宣言するのであった。
「乙女の操、誠にかけてあなたを愛します。」
「キャー、助けて。」必死で逃げるシザーリオ。
オリヴィアがシザーリオに告白するところを盗み聞きしたアンドルーは大ショック。
「僕、もう国さ帰っぺョ。さよなら。」
トービーと道化が慰め励ます。
「奴に決闘状を叩きつけろ。そうすりゃあ、オリヴィアも君を見直すぜ。」
「分かった、何て書けば良いの。」
「紙の許す限り悪口を書き並べろ。イモ・ナス・ダイコン・カボチャと毒々しいインクで文字を書くんだ。いいな、馬鹿馬鹿しい文句で恥をかくのはしょうがないとして。」
「ようし!・・・ん??」
シザーリオVSアンドルーの珍妙な対決が始まった。
大笑いするトービーと道化。
と、そこへ駆けつけたのは、海賊アントーニオ!!
「剣をお引きなさい。代わりに私がお相手致そう。」
シザーリオをセバスチャンと間違えたのだ。
同じ顔の男が二人!?
さあ、イリリアはてんやわんやの大騒ぎとなっていく。
シザーリオが弱虫の卑怯者と知ったアンドルーは、もう一度戦おうと後を追いかける。
だが、見つけた相手は、実はセバスチャン。
反対にやられてしまう。
と、そこへ駆けつけたのがオリービア姫。
大事なシザーリオと思い込むオリヴィアは、叔父を怒鳴りつけ、セバスチャンに許しを乞うのだった。
「お願い、私の部屋へ来て。」
訳の分からないセバスチャンは、美しい姫の言葉にウットリして、
「うん。」
勘違いが更に勘違いを呼んで、もう何が何だか、ワカリマセーン!!!
シザーリオがとうとう自分の気持ちを受け入れたと思い込んだオリヴィアは、気が変わらないうちにと結婚を申し込む。
突然の嬉しい奇跡に茫然とするセバスチャンは、その申し出を二つ返事で承諾する。
さあ、この結婚の行方やいかに!?
恋の決着をつけんとシザーリオを従えオリヴィアのところへやって来たオーシーノーは、
「シザーリオは、私の夫です。」
とのオリヴィアの言葉に、衝撃を受け、崩れ落ちる。
恋する者二人に同時に裏切られたのだ。
必死に否定するシザーリオ。
勇気を奮い真実を告げよと迫るオリーヴィア。
あぁ!もつれにもつれた恋の糸。
ついに離れ離れになった兄と妹が再会を果たす時が来た。
「そこにいるのは、僕か!?僕には男の兄弟はいない。あなたのお名前は?ご両親は?」
「生まれは、メッサリーン。父の名はセバスチャン。そして同じセバスチャンという名の兄がおりました。」
「あなたが女だったらあなたの頬に涙を注いで言うだろう。よく生きていてくれた可愛いヴァイオラ!」
涙の二人。驚き、声も出ない全員。
「この幸せな難破船の仲間に入れて頂きたい。」
全てが明らかになった今、オーシーノー公爵とオリヴィア姫は、自分が本当に愛した人が誰なのか悟るのであった。
「公爵様、もしよろしければ、同じ日に二組の婚礼の式を挙げたいのですが、いかがでしょう。」
「そのお申し出、喜んでお受けしますぞ。さあ、シザーリオ、おまえには暇を出そう。今日からおまえは、おまえの主人の女主人だ。」
そして、フィナーレの歌と踊り。
「おめでとう、オーシーノーとヴァイオラ。
おめでとう、セバスチャンとオリヴィア。」
道化の歌。「・・・ヘイホウ、風吹き、雨が降る。
それでも芝居はおしまいだ、おいらは毎日笑わせる。」